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五浦 幽谷隠田跡温泉

2024.9.20(金)五浦 幽谷隠田跡温泉, 北茨城市, 茨城県

五浦 幽谷隠田跡温泉

私たちは岡倉天心が晩年居をかまえたこの五浦の地で、宿泊体験まで含めてアートの一部になる体験そのものを設計しました。 敷地全体には、コテージ、温泉、グランピングテントがあります。 この敷地は最初は山と森に隠された棚田跡のぬかるみでした。そのため、やむを得ず工事のために最低限の植物を残して更地にし、土を持ってきて、新しい地面をつくる必要がありました。新しい地面は敷地を囲む山々と一体化するために立体的に大小の山を図面で細かく計画し、工事を行いました。そして、その間を縫うようにコテージやテントに行けるように道をつくりました。 宿泊客がまず到着すると、そこには受付はなく、2つの大きな山が見えます。 その山々が神社の鳥居のようにある種の境界のような役割を担い、山の間を抜けて頂上にくると、2棟のコテージを含めた敷地が見渡せます。これが全ての宿泊客の最初のイメージとなります。このコテージは三角屋根をもち、山々の形状となじみながら、家のアイコンとして認識できます。 宿泊のコテージは2階建てで、2階には寝室と特別な空間があります。そこは昼は太陽光に照らされた木々が美しい森を室内に無限に取り込みます。夜になると、チームラボのアート作品となった森を無限に取り込みます。無限の自然の中でお茶を飲んでくつろいだり、時には寝たり、プライベートの中で非日常的な体験ができる空間です。この空間は2階の寝室から眺めることができ、そこからは三角形に切り取られた絵画のように映ります。 そして、そのコテージの前を通り過ぎ、以前からあった暗い杉林を抜けると、温泉の建物が見えます。この建物は四角柱に三角柱がのってる形状であり、その側面部分は黒い壁に見えます。これはコテージの家形の建物との対比により壁の中に穴があるように感じてもらえるように意図しました。壁の開口部からは作品のある棚田状の池が絵のようにみえます。そして、この開口部に近づいていくと宿泊の受付があります。 受付には温泉が併設されています。 内風呂と外には水着で入れる外風呂があります。本来は男女分て裸で入れる2つの露天風呂をつくるのが普通ですが、それでは目隠しの塀が必要になるので、今回は池とつながり開放感がある露天風呂にしたかったので、すこし不便ですが、男女兼用の水着着用の風呂にし、塀をなくしました。 そのため、池と一体の温泉は、夜には池に浮かぶランプと繋がりながら湯につかることができます。 敷地に植えた植物は既存の森の植生を調査し、その森に生えているものと同じ種類、同種のものを植えています。そうすることで、森からくるタネが新しい地面に根付き、長い時間で森と敷地が一体化するように考えました。そして、五浦の石を使い、すこし座れるベンチ、ちょっとした段差の踏み台やサインはすべて石でつくりました。 昼からきて、切り取られた開口部からみえる絵画のような池の作品のすこしづつ夜になっていく姿をみて過ごし、夜になると、森のアートを体験します。アートの最後の作品は棚田跡に浮かぶランプの風景です。これはこの施設にきて最初にみたランプの棚田跡の上流部分からみる景色です。そして、ここにつながった露天風呂で棚田に浮かぶランプを鑑賞しながらアートと一体となり入浴します。そして、外の森で鑑賞したアートの森を取り込んだコテージでお茶をのみ、語らい、時を過ごし、朝を迎えます。 そういった体験のすべてが、私たちにとって今回挑戦する日常の体験がアート体験の一部になる、新しいアート体験です。
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五浦 幽谷隠田跡温泉

2024.9.20(金)

五浦 幽谷隠田跡温泉, 北茨城市, 茨城県

五浦 幽谷隠田跡温泉

私たちは岡倉天心が晩年居をかまえたこの五浦の地で、宿泊体験まで含めてアートの一部になる体験そのものを設計しました。 敷地全体には、コテージ、温泉、グランピングテントがあります。 この敷地は最初は山と森に隠された棚田跡のぬかるみでした。そのため、やむを得ず工事のために最低限の植物を残して更地にし、土を持ってきて、新しい地面をつくる必要がありました。新しい地面は敷地を囲む山々と一体化するために立体的に大小の山を図面で細かく計画し、工事を行いました。そして、その間を縫うようにコテージやテントに行けるように道をつくりました。 宿泊客がまず到着すると、そこには受付はなく、2つの大きな山が見えます。 その山々が神社の鳥居のようにある種の境界のような役割を担い、山の間を抜けて頂上にくると、2棟のコテージを含めた敷地が見渡せます。これが全ての宿泊客の最初のイメージとなります。このコテージは三角屋根をもち、山々の形状となじみながら、家のアイコンとして認識できます。 宿泊のコテージは2階建てで、2階には寝室と特別な空間があります。そこは昼は太陽光に照らされた木々が美しい森を室内に無限に取り込みます。夜になると、チームラボのアート作品となった森を無限に取り込みます。無限の自然の中でお茶を飲んでくつろいだり、時には寝たり、プライベートの中で非日常的な体験ができる空間です。この空間は2階の寝室から眺めることができ、そこからは三角形に切り取られた絵画のように映ります。 そして、そのコテージの前を通り過ぎ、以前からあった暗い杉林を抜けると、温泉の建物が見えます。この建物は四角柱に三角柱がのってる形状であり、その側面部分は黒い壁に見えます。これはコテージの家形の建物との対比により壁の中に穴があるように感じてもらえるように意図しました。壁の開口部からは作品のある棚田状の池が絵のようにみえます。そして、この開口部に近づいていくと宿泊の受付があります。 受付には温泉が併設されています。 内風呂と外には水着で入れる外風呂があります。本来は男女分て裸で入れる2つの露天風呂をつくるのが普通ですが、それでは目隠しの塀が必要になるので、今回は池とつながり開放感がある露天風呂にしたかったので、すこし不便ですが、男女兼用の水着着用の風呂にし、塀をなくしました。 そのため、池と一体の温泉は、夜には池に浮かぶランプと繋がりながら湯につかることができます。 敷地に植えた植物は既存の森の植生を調査し、その森に生えているものと同じ種類、同種のものを植えています。そうすることで、森からくるタネが新しい地面に根付き、長い時間で森と敷地が一体化するように考えました。そして、五浦の石を使い、すこし座れるベンチ、ちょっとした段差の踏み台やサインはすべて石でつくりました。 昼からきて、切り取られた開口部からみえる絵画のような池の作品のすこしづつ夜になっていく姿をみて過ごし、夜になると、森のアートを体験します。アートの最後の作品は棚田跡に浮かぶランプの風景です。これはこの施設にきて最初にみたランプの棚田跡の上流部分からみる景色です。そして、ここにつながった露天風呂で棚田に浮かぶランプを鑑賞しながらアートと一体となり入浴します。そして、外の森で鑑賞したアートの森を取り込んだコテージでお茶をのみ、語らい、時を過ごし、朝を迎えます。 そういった体験のすべてが、私たちにとって今回挑戦する日常の体験がアート体験の一部になる、新しいアート体験です。

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チームラボアーキテクツ デジタルテクノロジー、アート、生物学、建築の境界を越え、新しい時代の都市と自然と人々のありようや、新たな建築や空間のありようを模索する建築集団。 河田将吾(KAWATA Shogo) デジタルテクノロジー、アート、生物学、建築の境界を越え、新しい時代の都市と自然と人々のありようや、新たな建築や空間のありようを模索する建築集団チームラボアーキテクツの代表。
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